こんにちは、管理人のちくわです。
不動産投資家としていつも欠かさず見ている楽待新聞の動画記事について、要点と感想をまとめてみました。
概要
「不動産会社の甘い言葉を鵜呑みにして、儲からない物件を掴んでしまった」
「毎月のキャッシュフローが赤字で、どうしたらいいかわからない」
「物件を購入してみたものの、このまま何十年も持ち続けるのが不安」――このように、「不動産投資で失敗してしまった」と感じている方は少なくないと思います。そんな悩める方たちの相談を、不動産投資家の五十嵐未帆さんが受け付ける新企画がスタートします。
ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、細かい収支シミュレーションや財務体質改善などのノウハウに定評がある五十嵐さん。相談者に厳しくも愛のあるアドバイスを送り、物件の問題点や今後のリカバリー策について考えていきます。
第1回目の相談者は、神奈川県の会社員・吉崎誠さん(仮名・39歳)。新築区分マンション2戸と新築・築浅アパート計2棟を購入したものの、「借り入れがいっぱいになってしまって、拡大に向けた打ち手がない」という相談です。
出典:2019/12/10 楽待新聞記事「返済比率70%…「救いようがないダメ物件」を一刀両断」より
相談者のスペック
39歳男性
職業:会社員
年収:750万円
金融資産:1200万円
保有不動産:区分マンション2戸、一棟アパート2棟
保有不動産のスペック
区分マンション1(練馬区)
住所:東京都練馬区
購入日:2016年10月(新築)
物件価格:2470万円
融資金額:2390万円
家賃:8万円(サブリース前)、7.26万円(サブリース後)
利回り:3.88%(サブリース前)、3.53%(サブリース後)
金利・期間:1.7%・35年
区分マンション2(荒川区)
住所:東京都荒川区(動画内で箕輪と言及)
購入日:2016年11月(新築)
物件価格:2790万円
融資金額:2690万円
賃料:9.5万円(サブリース前)、8.17万円(サブリース後)
利回り:4.08%(サブリース前)、3.51%(サブリース後)
金利・期間:2%・35年
一棟アパート1(戸塚区)
住所:横浜市戸塚区
購入日:2018年4月(築1年)
間取り:1K×8
利回り:6.15%
物件価格:8732万円
融資金額:8732万円
金利・期間:2.55%・35年
一棟アパート2(福岡市)
住所:福岡市南区
購入日:2019年5月(新築)
間取り:1K×8
利回り:7.3%
物件価格:6358万円
融資金額:6240万円
金利・期間:2.55%・35年
動画内で指摘されている問題点
相談者の問題点
- 勉強不足・知識不足
- リサーチとシミュレーションの甘さ
- 物件を買うことが目的になっている
- 20年後、30年後の出口戦略まで意識していない
- 知識のある人に話を聞きに行っていない(自分1人でやってしまっている)
ちなみにこの人、楽待新聞でコラムデビューした模様。
参考:【実践大家コラム】救いようがないダメ物件大家がコラムデビュー
一棟アパートの問題点と解決策
問題点
- 融資期間が長すぎる
- 返済比率が高すぎる
- 立地の割に利回りが低すぎる
- 賃貸需要が低い
- 借り換えが難しい(物件評価が低い)
- 入居率のシミュレーションが現実的でない
- 家賃下落のシミュレーションが楽観的過ぎる
- 総じて物件を高値掴みしている
- 30年後の家賃相場が現在の半分以下
- イールドギャップが3%台と低すぎる
解決策
- 清掃費を下げる(シルバー人材に委託)
- システム料の減額交渉
- 管理費の減額交渉
- 自主管理できる物件はする
- 消防点検業者の変更で費用削減
- 金融機関と金利引き下げ交渉、繰り上げ返済
区分マンションの問題点と解決策
問題点
- 区分マンション投資の本質を理解していない
- 最初から収支がマイナス
- 節税につながっていない
- サブリース賃料の減額で手出しが増えるリスク
- 高値掴みで買った時点で600万円の含み損
解決策
- 早めに売却して借入比率を下げる
- サブリースを解約して自主管理する
管理人からの補足
区分物件の場所と現在の相場
練馬の区分マンション(購入価格2430万円、家賃8万円、サブ賃7.26万円)に関して、家賃相場が7.6万円とおっしゃっていたので調べてみましたが、仮に西武池袋線沿いだとすると中村橋、富士見台、練馬高野台、石神井公園のあたりだと推測されます。
またこの価格とサブリース賃料および元の賃料を比較、管理費や修繕積立金(以下まとめて管積)については特に言及がなかったように思われます。
収支表の中で管積のマイナスが入っていないところを見ると管積の負担者は現在業者だと思われます。
元家賃が8万円、サブリース賃料が7.26万円、差額0.74万円が業者の儲けのはずですが、管積の分がそこから引かれるため業者側がマイナスの可能性が高いです。
つまりかなり早い段階でサブリース賃料の下落が予想されます。
しかし今の状態であれば、このままサブリースをしていてもらった方が得なので、減額交渉が来た時点でサブリースを解約する方がたぶんいいはずです。
また管積を7500円とかなり安く設定して、現在の中古ワンルームマンションの相場でエンド価格を計算すると2175万円となります(キャップレート4%で計算)。
関連ページ:【基礎知識】東京23区の投資用中古ワンルームマンションの値段の決まり方
この価格は買取再販業者が顧客に売るときの値段で、大家さんから仕入れる価格に最低300万、多ければ600万ほど上乗せされているものなので、大家さんが受け取れる額は1600~1800万円といったところでしょう。
仲介で売る場合でもやはり融資の関係で2000万円は超えないことが予想されます。
2件目の箕輪の物件(購入価格2790万円、家賃9.5万円、サブ賃8.14万円)に関しては家賃とサブリース賃料が1.4万円の差額があるので業者は黒字になっているはずです。
つまりこちらはすぐにサブリースを解除したほうが得な可能性が高いです。
相場の売買価格は2625万円となり、練馬の物件よりも購入金額との差額が小さくなっています(管積0.75万円、キャップレート4%で計算)。
一棟アパートはTATERU×西京銀行?
2018年ごろの新築アパートに2.55%、35年のアパートローン商品を持っていたところと言えば西京銀行が思い出されます。
そして福岡や横浜で西京銀行と組んだいたところと言えばTATERUが一番に思い出されました。
最初はこの方の持っている物件が2つともTATERUなのかな、と思ったのですが、2018年5月にTATERUと西京銀行のタッグは不祥事が明るみに出ているため、2019年の物件を西京銀行が融資付けて出したのかどうかが少し疑問には思っています。
参考:「第二のスルガ問題」か…急成長「TATERU」書類改ざん | 楽待新聞
感想
今回の方みたいに騙されて買わされた会社員の方が持ち切れなくなって、破産したり損切りしたりっていう物件が少しづつ世の中に出回るようになるので、資金があるガチ投資家の人から見ればチャンス到来になるんじゃないですかね。
特にスルガ案件はかなり世に出始めてますね。(融資付きづらいから相場より安いことが多い)
ちなみに動画の最大の趣旨は「楽待のサイトのシミュレーション使ってね」っていうことだと思います。