不動産賃貸物件に関して、不動産業者が家賃を保証してくれる契約であるサブリースについてです。
サブリースは空室の時でも家賃保証として安定して収入を確保できるため、不動産賃貸業に疎い大家にとっては非常に楽なシステムです。
特に大東建託、レオパレス21、東建コーポレーションといった地主をターゲットにした大手の収益物件を作るハウスメーカーは、物件の建築とサブリースを組み合わせて売り込んでいます。
そもそもサブリースとはどのような仕組みで、メリットとデメリットはどのようなものなのでしょうか?
また30年一括借り上げと言っている業者もいますが、それは本当なのでしょうか?
それぞれ見ていきましょう。
サブリースの仕組みとは?
サブリースというのは、物件のオーナーから不動産業者が部屋を借りて、その部屋を第三者に貸す、いわば転貸事業です。
なのでオーナーから見たときの借主は不動産業者ですので、賃貸借契約はオーナーと不動産業者が結びます。
一般的にオーナーから相場の8割ぐらいの金額で部屋を借りますので、差額の2割ぐらいが不動産業者の儲けとなります。
ただし空室の場合でも家賃の保証がありますので、毎月安定して業者が収益を上げることができるわけではありません。
サブリースのメリット・デメリット
メリット
- 毎月の賃料が安定している
- 全ての運営を業者に任せていればいいから楽
デメリット
- 自分できちんと運用する場合より収入が少ない
- 2年に1度程度、賃料の交渉がある
- 修繕などを不動産業者の提携先で強制的に契約させられることもある
- 場合によっては借り上げを一方的に打ち切られる
- オーナーから契約を打ち切るためには一般的に手切れ金が必要
- 借りている立場の業者の方が法律上ではオーナーよりも守られている
- 30年や35年一括借り上げと言っても賃料が変わらないとは言っていない(言ったとしても契約書には賃料は変動すると書かれている)
サブリースの実際のところ
以下を見てお察しください。
レオパレス21
昨年12月26日放送のテレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京)で取り上げられ、大きな話題となったレオパレス21の「一括借り上げ契約」解除問題。
「30年一括借り上げ保証」といった長期安定経営を謳うアパート業者の提案には甘い見通しのものも多く、提案を受け入れて投資した結果、人生設計が狂ってしまった不動産オーナーも多い。特に、長期一括借り上げ保証のアパート経営を謳う企業は、入居者募集などの手間がかからず老後の資金手当てや相続対策にもなるという魅力的な言葉を並べて、もともと土地を所有するいわゆる“地主”をターゲットにしている。
~中略~
今回、『ガイアの夜明け』で取り上げられたレオパレス21は、完成したアパートを30年間同社が借り上げることによって、オーナーは入居者の有無にかかわらず安定した家賃収入が得られるという契約に対して、早いもので10年も満たないうちに約束した家賃を減額または借り上げ契約を解除するようオーナーに半ば強制的に迫っていたことが明るみにでたものだ。
2018/1/13ビジネスジャーナルより Copyright © Business Journal All Rights Reserved.
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2018/01/post_21979.html
大東建託
家賃は下がることなく30年間一定額で続く。返済が終わった後は、年間約2000万円の売り上げのほとんどが所得となる。
「すぐに部屋は埋まる。空室率は3%程度です。」
「通帳だけ見てればいいんですよ」
支店長らは言った。
~中略(10年後)~
数日後、永峰さんは支店の上司を自宅に呼んで抗議した。
「話がちがう。おかしいじゃないか」
広い居間に置かれた分厚い一枚板のテーブルの上には、10年前に営業社員がもってきた試算表が広げられていた。そこに記載された家賃額は”30年間一定”だ。
しかし上司は平然として、試算表の下に小さな文字で書かれた注釈を示した。
<家賃をはじめとする各種収益・費用等の金額は、現在の賃料相場、税制に基づき試算したものであり、その金額を継続保証するものではありません。>
永峰さんは息を飲んだ。目にもとめていなかった記述だった。
三宅勝久著 大東建託の内幕より
スマートデイズ(物件名:カボチャの馬車、旧社名:スマートライフ)
「かぼちゃの馬車」では、高額な家賃保証が30年間にわたるということで、投資家の関心を高めていました。
特に一般的なサブリースとスマートデイズのビジネスモデルが異なるのは、入居者の紹介料収入によってオーナーに一定の賃料を保証すると主張していた点です。
同社の入居ターゲットは地方から職探しに上京してきた女性で、スマートデイズ側の説明によると、「企業に対して入居者を人材紹介することで紹介料を得て、サブリース家賃も保証する」としていました。
実際にはこのスキームはうまく稼働せず、シェアハウスはガラガラで空室だらけでした。
~中略~
こうしてガラガラのシェアハウスは、入居者からの家賃収入が見込めないまま、満室時以上のサブリース家賃をオーナーに支払い、さらに次々と新たに物件の販売を続けるという、まさに自転車操業状態に陥っていったのです。
この後、スマートデイズは経営が困難となり、2017年10月にはオーナーに対して一方的にサブリース賃料の減額を通知。さらに、2018年1月の中旬にはオーナー向けの説明会を開催し『経営が窮地に陥り、返済額さえ支払えない』と発表する事態に陥りました。
2019/03/21 幻冬舎GOLD ONLINEより
Wikipediaのサブリースのページ
リンク:https://ja.wikipedia.org/wiki/サブリース
サブリースのメリットについて:4行記述
サブリースの問題点:30行以上の記述
サブリースが問題だらけの理由
基本的に大手の会社は、建築費で利益を出す収益構造なので、人が入るわけもない田んぼのど真ん中でも当たり前のように建物を建てます。
そんなところに物件を建ててしまうので家賃保証のサブリースの多くは儲かっていないか、または赤字です。そのため一刻も早く契約を打ち切ったり契約家賃を下げるかをしなければなりません。
また建てれば建てるだけ利益が膨らむので、同社で建てた物件がすぐ近くにあっても問題なく建築します。
そうすると同じ会社の物件同士で顧客を取り合うカニバリズム現象が生じますが、建築会社としてはすでに建てた時点で利益は取れているので、カニバってできた空室をサブリースを打ち切るためのネタにします。
そんな状況なのでサブリースを続けるなら業者の要求通りに保証家賃を減額しなければならない、契約を打ち切ると集客ができそうにない、どう転んでも大家がうれしい状況にはならないのです。