2020年から850万円以上の会社員・公務員などの給与所得者の方が増税になるというニュースのレビューと解説です。
今回の税制改正を簡単に言うと、年収850万円以下の給与所得者の方にとっては関係ありませんが、年収850万円以上の給与所得者の方にとっては増税となり、フリーランスや自営業の方は、年収に関わらず減税になるということです。
ニュース記事と詳しい解説
ニュース記事
年収850万円超、1月から所得増税…フリーや自営の大半は減税
2019/12/29(日)働き方の多様化に対応するため、2020年1月から所得税が見直される。年収が850万円を超える会社員や公務員などが増税となり、フリーランスや自営業者の大半が減税になる。収入が多い年金受給者も増税になる。
所得税は、年収から様々な控除を差し引いた課税所得に税率をかけて計算する。
見直しでは、すべての人に一律に適用する「基礎控除」を38万円から48万円に増やす。所得が2400万円までの人が対象で、それを超える所得があると段階的に減少し、2500万円を超えるとゼロになる。
一方、会社員の経費とみなす「給与所得控除」は10万円減る。現在は収入に応じて65万~220万円が控除され、控除額の上限は年収1000万円超で220万円だったが、年収850万円超で195万円に引き下げる。
この結果、年収が850万円超では増税になる。年収900万円は年1・5万円程度、1000万円は年4・5万円程度、1500万円で年6・5万円程度の負担増になりそうだ。
以上のことを表にすると以下の通りです。
基礎控除 + 給与控除の合計額の表
注意点としてこの表の数値は給与控除と基礎控除(2019年まで38万円、2020年から48万円)を足した合計額になっています。
給与収入額 | 2019年(令和1年) | 2020年(令和2年)以降 |
---|---|---|
180万円以下 | 収入金額×40% または65万円の低い方 + 38万円 |
同左 |
180~360万円 | 収入金額×30% + 56万円 | 同左 |
360~660万円 | 収入金額×20% + 92万円 | 同左 |
(2019年まで)660~1000万円 | 収入金額×10% + 158万円 | |
(2020年以降)660~850万円 | 収入金額×10% + 158万円 | |
(2019年まで)1000万円以上 | 258万円 | |
(2020年以降)850万円以上 | 243万円 |
2019年以前でも給与所得控除はしばしば変更されていますので詳しくは国税庁のホームページでチェックしてください。
2019年と比べて1000万円以上の人は控除額が15万円低くなり、また850~1000万円の人は年収により0~15万円の低くなります。
前出のニュース記事より、目安としての増税額は年収900万円で1.5万円、年収1000万円で4.5万円、年収1500万円で6.5万円程度になります。
今回の税制改革の狙い
消費増税が低所得者にとって不利、高所得者にとって不利、と言われていた世論を受けて、平等にするために高所得者向けの増税を行ったのでしょう。
格差を埋めるためには、格差の下側の人を押し上げるか、格差の上側の人を押し下げるかしかありませんが、どうやら政府としては給与所得者の中では上から押し下げる方を選んだようです。
ただ消費増税にしろ、今回の税改正にしろ、本当の意味での格差の上側にいる大企業や経営者は減税されているので、格差を是正する気はさらさらないようです。
関連ページ:【本要約】ピケティの21世紀の資本【経済】
850万円以下の給与所得者は①と②が打ち消すので今と変化なし。850万円超の給与所得者は①と②が打ち消して③の部分が増税として残る。自営業者などは①の恩恵だけ受ける。