2016~2017年ごろに管理人の周りで数名が被害にあったStartup GRINDのマルチまがいの手口について、ネット上に残っている情報と、当時の記憶を交えつつ忘備録として残しておきます。
注:現在のStartup GRIND TOKYOは運営自体が変わっているため、当時の会社とはほぼ別物と思われます。
概要
2016年ごろ、黒柳大喜氏が代表を務める株式会社IDEA CREATIVE(以下I.C.社)がStartup GRIND TOKYOというグーグルが後ろ盾をしているプロジェクトの運営権を獲得し、ビジネスを展開していました。
2016-05-21 10:25日本において唯一のGoogle for Entrepreneursのコミュニティ「Startup GRIND TOKYO 」本格始動!株式会社IDEA CREATIVE
この度、「株式会社IDEA CREATIVE(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:黒柳大喜)」は、Startup GRIND TOKYO Powerd by Google for Entrepreneursの日本での運営における契約を締結いたしました。
Startup GRINDは、世界中の起業家や新規事業の拠点とつながっており、IT業界を牽引しているシリコンバレーからの信用を土台として活躍している約40万人のグローバルな起業家たちのコミュニティです。
~中略~
キーワードは「起業家」「IT」「Google」「グローバル」「ビジネス」。 そこでは常に「学び」「気づき」そして「交流」が起きています。弊社は、日本において唯一のGoogle for EntrepreneursのコミュニティであるStartup GRIND TOKYO Powerd by Google for Entrepreneursとして、日本の様々な起業家や起業家を目指す方々をサポートしていきたいと思いますので、皆様の温かいご支援、ご協力の程、お引き立てを賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
■Startup GRIND TOKYO Powerd by Google for Entrepreneurs 概要
商号 :株式会社IDEA CREATIVE
設立 :2015年9月14日
代表者 :代表取締役社長 黒柳 大喜
所在地 :東京都千代田区神田須田町2-1-1-6F
事業内容 :Startup GRIND TOKYO Powerd by Google for Entrepreneurs 運営
URL :http://startupgrind.jp/
グーグルが後ろ盾にいる、と言えば信用度は抜群です。
また黒柳氏も、学生のころから有名な方のようで、一部の人に対してはかなりの信用になったようです。(私は知りませんでしたが)
スタートアップする起業家が繋がりを作り学べる塾、と言えば聞こえはいいですが、その実態は中身のない塾に高額な登録料を支払わせる詐欺スキームのようなものでした。
しかも登録者が学ぶことと言えば「知人を紹介すればいくらかバックがもらえるから、それで稼いで独立すればいい」という完全なねずみ講です。
中身を知らずに聞こえのいい話を信じて登録した人たちは、登録料ぐらい回収しようと躍起になって勧誘をしていたようです。
訴訟、紛争
国民生活センターの紛争事案に実名入りで載っていたので紹介します。
法律違反の案件としては特商法違反に明らかに該当するようですが、結局通達を無視し続けただけで未解決になっているようです。
【事案2】起業家育成セミナーの解約に関する紛争
1.当事者の主張<申請人の主張の要旨 >平成28年8月、交流サイト(SNS)で知り合った男性から誘いを受け、カフェで会った。その際、役員を紹介すると言われ、同日、別のカフェに移動して、相手方(注)役員と会った。
その後、海外高級車販売会社の日本支部社長を紹介してもらえることになり、指定された日の15時ごろ、相手方事務所を訪問して相手方社長と面会した。
相手方社長から話を聞いたところ、相手方社長は海外高級車販売と関係がないことが分かったが、起業家がどうやって成長していくかという話の流れで起業家支援プログラムの話になった。それは、毎週実業家の講演や社長との会談、交流会、有名講師によるビジネスノウハウのセミナーを1年間54万円で受けられるという内容だった。
勧誘されると思っておらず、54万円は支払えないと伝えたところ、相手方社長からは「起業家は皆借金をして自己投資を行い、成長して成功するもの」と言われ、「クレジットカードを持っているか」と聞かれた。クレジットカードは利用限度額が少ないことを伝えると、不足分は消費者金融で借りることを勧められ、23万円をクレジットカード(リボ払い)で、31万円を借金で支払うことになった。
学生でありアルバイトによる収入しかなかったため、相手方社長と男性社員の指示を受けて年収を偽って消費者金融から融資を受けた。その現金を持って相手方事務所に戻り、相手方役員に手渡した。事務所を出る時には22時近くになっていた。
9月になり、各種イベントに参加したが、毎週開催されるはずのイベントは月に2回しか開催がなく、社長との会談のはずが社長でない人との会談であり、有名講師との触れ込みのセミナーでも本人は登場せずに起業経験もない人が話をする等、契約締結前に説明された内容とは異なっていた。契約書面等の書類は一切受け取っておらず、クーリング・オフの話もなかったため、消費生活センターに相談したが、解決しなかった。その後、クレジットカード会社から23万円の返金を受けた。現金で支払った31万円を返してほしい。
(注)株式会社IDEA CREATIVE(法人番号1011101074617)
所在地:東京都千代田区神田須田町 代表取締役:黒柳大喜
文中の「海外高級販売会社」は確かランボルギーニだったはずです。自称ランボの日本支社長という設定を聞いた記憶があるので。
管理人が勧誘された話と知人が登録した話
2016年の8月頃、パーティだったか異業種交流会だったか詳しくは忘れましたが、どこかで知り合った20代前半の男性と六本木のカフェでお茶をした際にこのStartup GRINDの話をされました。
話の内容としては以下のようなものでした。
- セミナーや交流会で一流からビジネスで稼ぐための勉強ができる
- 黒柳さんというすごい人に会える
- 登録料は54万円
- 登録後に知り合いを紹介してその人が登録すれば20万円ぐらいバックがある
見ればわかりますが、すぐにこれが「ビジネスで稼ぐ方法=他の人を紹介」という完全なマルチまがい商法、つまり違法なねずみ講であるということが理解できました。
なので自分は登録することはなく、その彼にも「セミナー云々はともかく、違法なねずみ講である可能性が高いのでやめておいた方がいい」ということだけ伝えておきました。
それから数か月後、全く違うところからStartup GRINDと黒柳氏の話が出てきました。
2016年の10月ごろ、知り合いの大学生がビジネスの塾に借金して登録したという話をしてきたのです。
最初はStartup GRINDのことなど忘れていたのですが、支払った金額が54万円、黒柳さんという偉い人が出てきた、という話を聞いてすぐに思い出しました。
その大学生にも「おそらくそれは違法なねずみ講だよ」という話をし、登録を解除してお金を回収するように伝えましたが、結局1円も返金してもらえなかったようです。
国の窓口で相談したけどダメでした、って言っていたのでもしかすると前述の紛争事案がこの大学生かもしれません。
まとめ
為替相場の値動きを予想して投資する「バイナリーオプション」と呼ばれる金融取引を巡り、「1年間で投資額の200%の利益が出る」といったうたい文句で、大学生が投資用の情報が入ったUSBメモリーを高額で購入させられるトラブルが首都圏で相次いでいる。購入者が友人を勧誘して拡大していくマルチ商法(連鎖商法)になっているのが特徴だ。53万円超のUSBを購入し、友人を勧誘したという東京都内の私立大学に通う男子大学生(21)が毎日新聞の取材に応じ、その実態を語った。【さいたま支局・中川友希】