メルカリのスクレイピングに関する規約についてです。
管理人は過去にメルカリからデータを集めるツールを個人的に開発していたことがあるのですが、その際に法的にスクレイピングが違法なのかどうかを調べたのでその内容をまとめてみます。
メルカリからデータを集めたいと考えているプログラマーの方は多いはずなので、何かの役に立てば幸いです。
関連ページ:【コードあり】旧PC版のメルカリで商品ページをスクレイピングする方法【python】
メルカリの規約は法的根拠となるかどうか?
利用規約上の表現
メルカリの規約には直接的にスクレイピングを禁止する文言は入っていませんが、「メルカリ事務局が不適切と判断する行為」の例の中に以下のような記述があります。
- 弊社が提供するインターフェイスとは別の手法を用いてサービスにアクセスすること
- 弊社の事前の書面による許可なく、弊社のサービス外のところで、商業目的で、弊社が提供するあらゆるサービス、コンテンツ、情報、システム、機能、プログラムなどの全部または一部を利用すること
- 弊社が提供するサービスに繋がっているサーバーやネットワークに対して悪影響を及ぼすこと
- 弊社がサービスを提供する上で関係するあらゆるシステムに対して、不正にアクセスすること
上記の4つがスクレイピングに関係してきそうです。
ただしこれはあくまで「利用規約」ですので、日本国の法律に抵触するかどうかとはまた別の話です。
なのでこれらに該当してもアカウントは飛ばされるかもしれませんが、そこに法的根拠がなければ、法的な罰則はないはずです。
規約は合意がなければ無効
管理人は法律家ではないので、ここ以降の内容に関しては起業家のための法律事務所「TOPCOURT」さんのスクレイピングに関する記事を引用させていただきながら進めます。
ここでは簡単にご紹介する程度なので、さらに詳しく知りたい方はリンク先のページをご覧ください。
利用規約と違法性に関しては以下のように書かれています。
利用規約の中には「スクレイピングを禁止します」「これに違反してスクレイピングをした場合には、損害を賠償してもらいます」といった記載が盛り込まれているケースが多いです。
仮に、このような利用規約を無視してユーザーがスクレイピングをしてしまった場合、ただちに違法!ということになるのでしょうか?
このような場合に、スクレイピングが「違法」といえるためには、事業者とユーザーとの間に「スクレイピングをしない」ということについての合意が成立していなければなりません。言い換えると、ユーザーが利用規約(スクレイピングを禁止する内容が含まれているもの)に同意していることが必要になります。ユーザーが利用規約に同意することにより、ユーザーは「スクレイピングをしない」義務を負うことになるからです。
もっとも、ユーザーの同意により、利用規約に法的拘束力が認められるためには、ユーザーの同意が以下のいずれもをみたしてなされていることが必要になります。
- 利用規約をユーザーに対して表示すること
- 利用規約への同意(クリック)がユーザーの正当な取引意思に基づくこと
のいずれをもみたす必要があります。
つまり利用規約に同意します、という表示に対してクリックしたりしてユーザーが同意を示さない限りは規約は適用されないということですね。
この点に関して、メルカリにおいてはユーザー登録時に利用規約に同意するかどうかという表示がされるため、ユーザー登録しなくても利用できる範囲であればスクレイピングは規約には触れないと管理人は判断しました。
規約以外で違法になるかどうか
概要
ここまでは規約と違法性について見てきましたが、規約に関わらずスクレイピング自体が違法になる可能性があるのでそちらも見ていきます。
TOPCOURTさんのページによるとスクレイピングする際に法的に気を付ける点は3つあると書かれています。
事業者がスクレイピングをする際には、以下の3つの法律問題をクリアする必要があります。
- 著作権法上の問題
- 利用規約との抵触
- サーバーへの過度なアクセス
②に関しては上で見た通りです。
①と③に関しては詳しくはリンク先のページで確認してほしいのですが、要するに情報解析目的以外の目的で著作物に当たるものを同意なくスクレイピングして自社サーバなどに保存すると違法、相手のサーバーに負荷をかけると違法ということです。
①著作権法上の問題に関して
メルカリが著作権を持つと考えられるものをスクレイピングすることはなかったので基本的に考えていませんでした。
メルカリが著作権を持つと考えられるものとは、webページのデザインやロゴなどメルカリが創作したものです。
ただし私が行っていたスクレイピングは情報解析目的なので、仮に著作権があったとしてもTOPCOURTさんのページを見る限りは大丈夫そうです。
③サーバーへの過度なアクセスに関して
アクセス間隔を調整することで対処しました。pythonではtimeというライブラリー内にあるsleep関数を使うことで調整ができます。
1 2 3 |
import time time.sleep(1) |
メルカリ全体でのアクセス数は公開されていませんが、メルカリに抜かれる直前の2014年のヤフオクで月間43億PVと言うのを考えると、メルカリの2020年の月間PVは50億以上、1日当たり1.6億以上と推定されますので、1秒に1回、1日86400回以下のアクセスであれば与える影響はほぼないと判断しました。(俗にいうスクレイピング1秒ルール)
まとめ
スクレイピングする際には法的には以下の3つに気を付ける必要がある。
- 著作権法上の問題
- 利用規約との抵触
- サーバーへの過度なアクセス
メルカリをスクレイピングするにあたっての管理人の個人的な解釈は以下の通りです。
①の著作権は、著作権物をスクレイピングしない、または情報解析目的であればセーフだと判断した。
②の利用規約については、登録なしでも見れる範囲(ログインなしで見れる範囲)であれば規約に同意せずとも利用できるため、規約が適用されない可能性が高いと判断した。
③のサーバーへの過度なアクセスは、最低でも1秒間のインターバルを挟むことで対処。1日1.6億回以上のアクセスがあると考えれられるメルカリで、1日8万回程度であればサーバーに与える負荷の増加は無いに等しいと判断した。
ここでの解釈に関しては管理人の感想レベルのものなので、詳しくはTOPCOURTさんのページを読んでください。
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